社会人の風磨くんと、いつまでもドキドキを。

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 「アオハルかよ」なんて言葉を耳にする度に思っていたことがひとつあって。私たちって、たぶん、いくつになっても青春してるんですよね。制服、教室、部活、体育祭……とは違った、オトナにはオトナの青春があって。年齢を重ねれば重なるほど、素直になれなくて、あといっぽが踏み出せなくて、切なくて。ドキドキしたりモヤモヤしたり……彼のひと言で一喜一憂しちゃう。きっと、ずっと、女の子なんです。今回はそんな”アオハル”を、社会人の風磨くんと。

 

(1)お互い一人暮らしを始めても、結局近所に住んじゃう幼馴染みの風磨と。

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「もう無理‪、飲めない……」

「”先に潰れないでよ”って言ってたのどこの誰ですか〜?全然足りないんですけどぉ〜」

「本当に、これ以上はやばい。無理」

「飲める飲める。ほら、ヨユーじゃん。もうひとくち。な?」

さっき、やっとの思いで空けたお猪口に、日本酒をまた注ぐ風磨が恨めしい。あとひとくち、あとひとくちで本当に勘弁して貰おう。意を決して、注がれた日本酒を飲み干す。

「飲めんじゃん。もうちょっと頑張ろっか?」

記憶があるのは、そう言ってニヤッと笑った風磨の顔を見たまで。あ〜あ、もう、知らない。

 

(2)大学時代のサークルがきっかけで付き合った風磨と。

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「飲んでるから今日は家来てもいないよ」とLINEしたのが、かれこれ3時間半前。ほろ酔いでアパートの階段を上ると、玄関の前にいないはずの風磨の姿。
「………おっそ」
「いないって言ったじゃん…!連絡してよ…!」
ちょぴり不機嫌な彼に、慌ててバッグの中の鍵探す。いや、私は何も悪くないんだけど。
「ちょー暑いんですけどぉ……早く入れて」
肩に顔を置きながら、耳元で言うから。恥ずかしくって、全然集中できない。
「くっついてるからでしょ!」
心臓がドキドキ五月蝿い。いっぱいいっぱいになりながら言葉にした軽口も
「何してんの?早く探してよ」
と、ニヤッとかわされて。私が照れてることなんて、きっとお見通しなんだ。悔しくて何か言ってやろうと思ったとき、鍵を探す私の手に彼の手が重なった。

 

(3)2年8ヶ月付き合っている、彼氏の風磨と。

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「あれ、新しいの買ったんだ?」

「可愛いっしょ、着けてみ?」

「取れなくなりそうだからやだ」

「取れなくなるとかないから(笑)俺より細いし大丈夫だって(笑)」

「いや絶対私のが太いから!無理!いい!遠慮する!」

拒否する私の手首を無理矢理掴んで、スラッと長い指で手首の太さを測る風磨。

「いいじゃんいいじゃん大丈夫だって!……あ、俺のが細いかも(笑)」

「だから言ったじゃんほんと腹立つ」

「いや女の子はちょっとむちむちくらいが可愛いんだって(笑)」

「うるさい」

 

(4)同期で営業の、両片想いの菊池と。

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錦戸先輩は仕事では厳しいけど、その他の面では優しくて人として尊敬している憧れの先輩。定時で上がれた時は「今日飯行こか」なんて誘ってくれるんだけど、高確率で菊池から仕事が回ってくる。

念願叶って錦戸先輩と2人きりで飲みに行けた日。先輩のこともっと知れるかな、なんてちょっぴり期待してたのに、話すのはアイツのこと。

「いつも邪魔されるし、お前ら付き合っとると思ってたわ」

「いやいやそんな訳……(笑)」

「でも、好きなんやろ?」

「えっ!?ないない!ないです!」

「いつも目で追ってるん自分でも気付いてへんの?」

眉毛を下げて笑う錦戸先輩の言葉を否定できないのは、きっとお酒の所為。顔が熱くなったのも、きっと、絶対、お酒の所為。

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「飲みに行ったからって浮かれないでくださ〜い、仕事」

上から声が降ってきたかと思ったら、資料で頭を叩かれて。昨日までだったら確実に言い合いしてたのに、錦戸先輩の「あいつ絶対俺らが2人で飯行かんようにタイミング見計らってるやろ」って言葉がヤケに頭に響くから。

「あっうん、ありがとう」

ああ、もう。上手く返せなくなっちゃったじゃん。顔だって熱い。恥ずかしくって、目も見れない。

 「……今日、飲みにいかね?」

ビックリして見ると、照れたような彼の仕草。

「……いく」

満足そうに「ん」と返ってきたのと同時に、始業の音楽が流れた。

 

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私事なんですが、風磨くんと同い年なんですよね。だからか、社会人で妄想しても、どうしても幼馴染み系が多くなっちゃって。同じ関係性でも学生時代とは違った切り口になるのがちょっとおもしろかったり。ねりねりしてるものがあと2本あるので、8月の終わりに”思い出編”として書けたら。